Sans toi ma mie
今日8/31は初めて付き合った彼氏の誕生日だ。
大学1年生の時に出会い、6年間の女子校生活を終えた私は久々の共学生活に浮かれていた。
女友達とキャッキャ盛り上がりながら彼の纏う雰囲気に惹かれ、
有難いことに、彼もまた私を好きになってくれた(らしい)。
初めての彼氏に浮かれに浮かれた私は恋愛に夢中になったが、
彼は彼で部活や趣味、友達との遊びに忙しくなかなか会える時間がなかった。
その頃は私もいじらしい18歳だったので、
会いたい、時間を作ってほしいという本音を女友達には愚痴っぽく言うことはできても彼に言えず、ただひっそりと時間を潰していた。
その僅かな「時差」が要因だったのか、
盛り上がった3年を経て、私の恋は終わりを迎えた。
私は彼を好きだったし、彼も私を好きでいてくれたと思う。
しかし3年の月日を経て、私は彼を、双子のような、弟のような、遠い親戚のように思えてきてしまったのだ。
当初、私はそれを「愛」(家族愛?)と思っていたが、
彼からしたら私の気持ちが離れていったように感じたのか、
時折私は彼をぞんざいに扱い、彼はそんな私を強い口調で責めた。
そこからすれ違いが起こり、逃げ癖のある私は彼との別れを決めた。
別れからすぐに新しい出会いもあったし、その中の数人と付き合ったが
どの人とも長い間続かず、私は「人と付き合う」自信をすっかり無くしてしまった。
今になって思うと(当時もおそらく感じていた)相当都合のよい話だが、
別れてから3年後、ふと彼に会ってみたくなり連絡をした。
彼から返事はあったものの、私を拒絶する内容であり、
私はその時はじめて、彼とは道を違えてしまったことに気がついた。
そしてその連絡から1年、彼から連絡があった。
私と過ごした時間を否定する言葉が並べられていて、私は言葉を失った。
私は過去の出来事を美談にする性質があって、それは彼もよく理解していたと思う。
会わなくなって4年経っても彼がそのことを覚えていたのか、
私の信条を否定するその言葉は、私を深く傷つけた。
「あなたには美学があって、俺はそれを受け入れることができない」
別れの1年ほど前、ちょうどすれ違い出した頃に
彼に言われた言葉だ。
自分の中に美学や強い信念がある自覚がなかった私はその言葉の意味が理解できなかったが、
今になって思うと、価値観や信念が合わないことを彼はその時点で気づいていたのだ。
付き合いたてのとき、彼が投げかけたこんな質問を思い出す。
なぜ鮮明に覚えているのか定かではないが、
恐らく18歳の私にはその出来事がかなり衝撃的だったのだと思う。(しかし、それを“普通”だと思い込もうとしていた)
その時はお互い実家に住んでいて、彼が眠りに就くまで、私たちは毎晩電話で話していた。
和室で家族と川の字で寝ていた私は、電話のために、交通量の多い幹線道路に面した北側の部屋で話し、彼が眠ると和室に移動していた。
「もし、あなたと俺どちらかしか生き残ることができない状況になったら、あなたはどうする?」
恋に恋していたのかもしれないが、
初めて恋愛の雰囲気に酔っていた私は、
彼が求める答えはひとつしかないと思っていた。
(実際その状況になった場合の自分の行動はともかく)
「んー、あなたを選ぶよ」
そう答えた私に、
「そっか。申し訳ないけど、俺は自分を選ぶ」
と彼は応えた。
そこから2年は(少なくとも私にとって)うまくいったので、
その出来事がきっかけとは言えないが、
振り返ってみるとそこからすれ違いは起こっていたのかなと思う。
未だに自分に自信が持てない(過去を後悔はしていない)私だが、
次は嘘でも「あなたを選ぶ」と言ってくれる人と付き合ってみたい。
あなたなしでは生きられない
あなたがいなくても平気、になりたくない